Field report 2 ● レジデンシャルオーガナイザー 若林 弓子


CLIENT

個人邸

場所:大阪府高槻市

業種:エステサロン

 


Interview

「お客様がくつろげて、スタッフの動線を考慮した収納提案」

ご自宅でサロンを経営しているお客様。「サロンのモノがスッキリ収まっていないし、自宅の収納も乱れている、整えたい。」とのご依頼でした。ヒアリングに伺い、気になる各箇所をみながら詳しくお話を聞かせていただきました。そこで見えてきたのは、プライベートで使用するモノとサロンで使用するモノとが同じ空間で混在していることでした。そのため、商品管理に不便さを感じることとなり、動線も整理できていないのでなんだか面倒な空間になっていることでした。

□ モノの配置を決めるだけではありません。

まずはサロンの動線を考慮した収納計画をご提案することになりました。私たちは、ただ「モノの配置を決める」ことだけを提案するのではありません。最初にヒアリングをおこない、お客様の「不満」「不便」「不快」を徹底的に訊きます。表面的な「片づかなくてなんだか不便」という言葉の裏にかくれている、ほんとうの想いを引き出すことに注力します。ほんとうの想いって?なんでしょう。


それを紐解くには、◯どんなサロンにしたいのか?ゴールを確認します。→◯現状を把握します(今の状況や残したいモノや新しくしたいモノなど)→◯商品の使用頻度や在庫の量、どのようなタイミングで誰が、どの程度使用するのかをお訊きします→◯動線チェック(スタッフ同士、顧客動線など、時間的な側面からも確認します)→◯モノを配置するために効果的な位置はどこかを割り出します。

このように、空間や人、時間を俯瞰しながら不満の根っこを探り出すのです。そんな話をしていると、オーナー様の意外な一面を発見したり、本当の想いに出会うことになります。「女性がイキイキと働ける場を作っていきたい」「キレイになり、輝く女性が大好き」「スタッフを育て、店舗を広げていきたい」。。。なにより「スタッフ達が自分と同じように、サロンを盛り上げていける環境を作って共有したい」ということが見えてきました。つまり、モノがスッキリ収まっていないということだけが不満だったのではなかったのです。


□ 本当のゴールはクライアントの思考と感情をも整理すること

予約で忙しいサロンを1日休む。これは大変な決断を要することです。1日の売り上げを0にすることですから。ですが、それを「損失」とするのか「投資」とするのか、ここが重要だと思います。私はこの1日を「やってよかった」と思っていただけるよう、入念にプランし、作業当日に無駄がないよう準備を進めます。作業後、オーナー様、スタッフの皆さんの「スッキリした気持ち良さ」や維持しやすい「リバウンドしないシステム作り」を感じていただけたら、この1日は未来への投資と感じていただけるはずです。

使うモノの位置や商品説明の流れ、使用するペーパー類を置く位置など、オーナー様が実際に動きながらご説明くださり、それをもとに配置を考えていきます。さらに、購買意欲がわく商品の配置やポップなどもスタッフみなさんで意見を出し合い、修正を重ねながら進めます。そうしていると、私が思う以上の「ヒラメキ!」が。予定になかった部屋のコーディネートも一部も変更することになったのです。


□ 動線・空間が整った、その先にみえてくるもの

「私もスタッフも大満足で、なんだか部屋の空気が違って、仕事がめちゃくちゃうまくいきそうです」

作業の翌日届いたメールからは、今後の意気込みが感じ取れました。嬉しかったですね。「いままで忙しさからのストレスを、買い物することで発散していた気がします。オーガナイズのおかげで毎日の生活の仕方も考え方も全く変わりました」と言っていただけました。新店舗もオープンされ、新たな夢の実現に飛び回っていらっしゃいます。

レジデンシャルオーガナイザーは、動線や空間を整えるだけではありません。本来どうしてその不満が生じてしまっているのか、クライアント様の心の声を聞くことでその先にある、「理想とする暮らし」のお手伝いをしていきたいと思っています。