Field report 3 ● レジデンシャルオーガナイザー 小森 あき


CLIENT

ご夫婦 + お子さん2名の4人家族

東京都内/ご自宅の建替

敷地33坪


Interview

伝わらない「想い」を伝える役目

『どうして、わかってくれないの?』

 お客様は住まいづくりにいきづまり悩まれていました

私にご相談いただく1年以上前から、工務店とのご自宅の建替の計画を進めておられました。

ですが同時に、こんな気持ちをずっとかかえていらっしゃいました。

  •  繰り返し打ち合わせを行っても思ったような間取りにならない。
  •  工務店との意思の疎通がうまく行かない。
  •  要望が反映されない   

もちろん工務店も、何度も何度も提案はしてくれている。でも、プラン図ばかりが増え、気持ちは沈むばかりだったそうです。楽しいはずの家づくりが今では悩みでしかないとおっしゃる程でした。

□ 原因はリアルな生活の流れが再現できていないこと

 

ご依頼に対して私がまずしたことは、現在出ているプランは考えずに、まずはクリアな状態でヒアリングからスタートすることでした。家族構成、仕事、1日の行動の流れ、部屋の使い方、持ち物の量と今の収納のしかた。現在の暮らしで気に入っているところ、不自由を感じているところ。また、新しい家に求める「こうだったらいいな」と思う夢の部分。全て出して、分類し整理していきます。(レジデンシャルオーガナイザーが最も得意としている思考のオーガナイズです)

もちろん建て替えですから敷地の状況、隣家の窓の位置や交通量に至るまでじっくりお話を伺います。その結果と工務店さんから出てきている最終プランと照らし合わせてみました。そうすると、提案されている図面には、部分的に要望を満たしていることもわかりました。ですが問題なのは、図面から日々の暮らしが見えてこないことです。お客様がもとめる「改善したいこと」を実現するためには、どんなストレスを解消すればいいのか。それはどうすれば解消できるのか。その答えが図面にはなかったのです。


□ 隠れた要望を引き出す

修正案として提案したポイントは2つ。1、家事をスムーズにする動線です。意外かもしれませんが、洗濯」1つとっても人によって動線やクセが違うのです利き脳や現在の収納のやりやすさなどをチェックし反映させます。収納の位置や大きさは特に検討を重ねます。例えば、1Fにプランされていた洗面所をリビングと同じ2Fに変更し、家事動線を短縮。家事行動から、洗面所(洗濯)→物干し→和室(取り込み・たたむ)という流れを確保しました。これが正しいということではなく、このお客様にとって楽な動線なのです。

2、当初の図面にはなかった「書斎」これはご主人様の「隠れた要望」です。打ち合わせをする中で、造ることが難しいだろうと想いこみ、あきらめていた要望を引き出し、プランに反映しました。こういった地味な拾いだしこそが大切なのだと思っています。もちろん、お客様の価値観や優先順位を理解した上で、何を提案するのかを考えます。

□ レジデンシャルオーガナイザーは工務店の敵ではありません

 お客様の思考や感情を整理・分類しわかりやすく伝えるサポートをします

 私は新たなプランをお渡しする時に、提案意図と各部屋の使い方、収納の内容と有効寸法などを提案書として作成します。工務店には仕様と構造、法規的なもののチェックをしていただきます。できるだけ理解してもうらために、手紙を添えたりすることもあります。
今回の
打ち合わせの最後にやっと家づくりが楽しく感じられるようになりました」と奥様の声を聞くことができました。
私がお手伝いするのは、お客様にとっての「最適な暮らし」の提案です。だれかの批判をしたり、邪魔をすることが目的ではありません。施主と施工側とつなぎ、暮らし方や要望を細かくうかがい、モノと思考の両方のオーガナイズでお客様の不安や迷いを解決するお手伝いをしていきたいと思っています。